Stanford MBA 心の旅路

Stanford大学でのMBA(Stanford GSB)留学に奮闘する、外資系経営コンサルティング・ファーム勤務の若者の心の日記blog。 コンサルティングの仕事、MBA受験からスタンフォードGSB合格、スタンフォードMBA生活、帰国にいたるまで。

中国出張現在お世話になっている会社の会長さんと一緒に、1週間ほど中国へ出張に行ってきた。私にとっては人生初めての中国である。とある新規ビジネスの検討ということで、瀋陽に1日、大連に2日、無錫に2日、蘇州に1日、そして上海に1日ほど滞在してきた。1日に3社程度を見学し、夜はそこの会社の経営者の方々と飲むという毎日ではあったが、いい面も悪い面も、中国の「現在」を存分に満喫してきた。

圧倒されるインフラ投資のスピードと規模
無錫のホテルの窓よりとにかく建設中の「ビル群」にどこの都市でも圧倒された。特に瀋陽、大連、無錫といった中級都市での発展の速度がすさまじい。立ち並ぶ高層ビルの隣で十数棟の高層ビル群が一気に密集して建設途中。1年後には、これらのビルはすでに建設後のビルとなり、またまた同じ数だけの高層ビル群が建設中ということになるのだとすれば、半年ごとに都市の景色が変わると言われる所以がよく理解できた。

中でも目を惹くのが、大量の同じデザインの居住用ビル群。建設のスピードが速く、一気に5棟や6棟のビルを建てるものだから、デザインがすべて同じで巨大な団地を形成しているのだ。全く同じデザインの居住用ビル群が横一列に並んでいる風景は、圧巻である。それにこれだけ多くのマンションを建てて、人が埋まっていくのだから驚きである。瀋陽の人口は、700万人以上。圧倒的に広い国土(とにかく平らである)と、大量の人口(依然農村からの流入は続いている模様)に支えられる圧倒的な建設ラッシュの風景は、本当に正常な建設ラッシュなのか目を疑う部分もあるが、とにかく中国の成長の勢いを肌で感じさせられるの一言に尽きる。

中国の豪奢なオフィスそんな(成長が鈍化すると言われているにせよ)中国の面白い一面を象徴的に表しているなぁと思ったのが、瀋陽で訪問した急成長を続ける会社の助理の藩さんのコメント(ちなみに助理とは社長秘書のような存在。ほとんどが女性だが、助理は単なる秘書というより、会社での非常に重要なポスト)。この会社は創業から4年目で、現在すでに1,200名の従業員を抱え、来年は3,000名、その次の年は6,000名への拡大計画を持つ急成長ベンチャー企業。ビジネス自体はそれほど高付加価値なことをやっていないのだが、とにかくオフィスが豪奢できれい。サーバールームなどは、SF小説に出てくるような近未来的なデザインで、休憩室もジャングルのようなデザインの部屋、お茶室のような部屋まであり、何でもあり。写真をお世話になっている会長の会社の中国従業員に見せたところ、「こんな会社で働きたい」と、大変人気であった。そんな会社の助理の藩さんは大変アグレッシブで面白い方で、
中国の豪奢なオフィス「中国では、とにかく勝負に行きます! 中国では、道路を渡るのも勝負!(実際歩行者は信号が赤でも強引に道を渡りに行く)。買い物をするのも勝負。 とにかく、勝負が重要です!」

また、豪奢な会社施設の解説では、

「中国では見た目が重要! 見た目勝負です!」と。

中国では幼いころに親が人生における賢い生き方(処世術)のようなことを教えることが多いらしいが、啖呵を切るのは一つの重要な要素とのこと。小さな嘘はバレるが、大きな嘘ならバレない、という教えもあると聞いた。いずれにせよ、まずは外見を作って威勢を見せることができれば、中身・実体は後からついてくるという感覚のようだ。日本人の感覚からすると、会社の実力に見合わない過剰な装飾はちょっと品がないようにも思えてしまうし、毎年従業員を倍にするなど、恐ろしくてできないが、(アメリカ人もそうだが)大陸人はリスク感覚が日本人とちがうなぁと、藩さんの言葉を聞きながら思った。

オフィスで働く大量の中国人従業員話がそれるが、中国人と日本人の違いという点で言えば、ある日系企業の経営者が悩んでいた中国人の特性というのが面白かった。まず第一に彼を悩ませているのが、中国人は報連相を重視しないということ。中国の人は自分が完全に理解していなくても勝手に想像して自分で適当仕上げてしまうことが多く、ただ外から見ると自信があるようにふるまうものだから、緻密なチームワークが必要な仕事では、思わぬところで仕事のやり直しをしないといけないことがあるという。その会社では一度大きなトラブルを経験したのち、全社員にコミュニケーションの重要さを徹底し続けているという。また残業の慣習がないため、そのあたりにも当初理解を得るために苦労したという。

もう一つ大きな違いは、給与に対する感覚。中国人は給与明細を隣の人と普通に見せあうという。そこで自分の給与が他の人に比べて低いとわかると、どんどん文句を言ってくるので、給与に対する公平で明快なルールが必要だとのこと。その会社では、ある人がよく頑張ってくれたのでそれに応えようと多少給与を割増して与えたところ、給料日に割増分をその人が返しに来たという。同じランク、同じ仕事をしているのに自分だけ給与が仲間より高いことが分かると、自分は会社側のスパイだと思われるというのが理由だという。

それから、中国人は上昇志向が強く、会社へのロイヤリティという概念を教えるのは難しいという。キャリアアップの機会があれば、すぐに転職してしまう。より給与が高いところがあれば、すぐに転職してしまう。なのである会社では、大学生の時から奨学金を出すなど、身の回りの世話をすることで少しでもロイヤリティを高めようという努力をしている模様。鍛えた社員をあっという間にさらわれてしまう中小企業にとっては、致命的な問題である。ただ、一旦ほれ込むと中国人は徹底的に付いてくることもあるようで、忠誠という概念は、決して彼らが持っていない概念ではない模様だ。いずれにせよ、こういった細かな文化の違いを理解しあい、共通の行動規範ができるまでは試行錯誤の繰り返しだという。

日本より高いブランド品。物価も都市では割安感はもうない。
日本より高いブランド店来る前の予想と一番大きく違ったのは、物価の高さ。特にブランド品の高さには、正直舌をまいた。瀋陽、大連、上海などの都市の中国系デパートには、ずらりと日本でもおなじみの高級ブランド店が軒を並べる。アルマーニ、グッチ、エルメス、バーバリー・・・。お金持ちの中国人からは、こういった高級ブランドが今大人気だという。そして驚くのはその値段。アルマーニのスーツが一着数十万円、バーバリーのコートが一着数十万円、シャツも1枚3〜4万円。。。日本で買うより、場合によっては5割から2倍ほど高い印象を受けた。会長に同行していた中国人の方も、「ブランド品はここで買わない方がいい。中国人はブランド好きで、お金もちは気にせずに買うから」とのこと。これほどの値段のものを平気でどんどん買う中国人が沢山いるというのだから、驚きである。どの都市でも、こういったブランド店はデパートに軒を並べ、お客で賑わっていた。

街中の人も、おしゃれな人が多い。殊、若者に関しては、日本の若者とあまり変わらないくらい奇麗な格好をしている。デパートの中を歩いていると、完全に日本にいるような錯覚を起こすくらいだ。この広い国土と人口を持った国が、気がつけば、ここまで来たかと、正直ショックを受けてしまった。

最新のNokia携帯は8万円それからブランド品以外の洋服や、食事の値段も、決して割安感はない。シンプルなTシャツが1枚1,000円から1,500円。ちょっとおしゃれなポロシャツは4,500円から6,000円など、依然多少は日本より安いかもしれないが、決して「安い!」という感覚はない。食事も、汚い屋台でなく、ちゃんとしたレストランで食べれば、1人1,000円以上はしてしまう。ちなみに吉野家の中国での牛丼の価格が約300円。感覚的には、物価水準は日本と大きくは変わらないレベルまで上がってきている。それから企業の経営者からすると、人件費の高騰も頭を悩ませている課題。都市では人件費がここ数年毎年1割くらいずつ上昇しているとのことで、すでにコスト削減を目的として日本から仕事を単純アウトソースしてきたビジネスというのは、工夫なしには成り立ちにくくなってきているという。上海の人件費が高いのは有名として、それ以外の中級都市でも同様のことが起きてしまっている模様。

一方、圧倒的に安いのが、インフラ代。タクシーは初乗りが120円から180円で、1時間以上乗っても2,000円程度である。バスの運賃は15円。クーラー付きのバスだと30円。電車は初乗り75円程度。家賃も、大連などの都市の中心部でも、管理費込みで平米月600-900円(50平米で月3〜4.5万円)くらいで借りられる。貧富の差が拡大する中で、貧しい人でも生活ができるように、政府がインフラは安く据え置いているとのことである。ご存じのように、ガソリン代も中国の一般市民には安く手に入るように政府が統制をしている。

上海にてこのように、インフラの安さは際立つものの、それ以外の物価水準は、すでに日本と比較して「安い」と言い切れるものではなくなってしまっている。若者のファッション、立ち並ぶ奇麗なデパートにブランド店、高層ビル、整備された町並みを見る限り、これはすでに「発展途上国」と呼ぶことはできない域に入ってきていると実感した。中国経済の先行きはいろいろと議論の分かれるところではあるが、明らかに中国が海外の資本をテコにしてここまで成長をしてきて、今「安い中国」から何らかの転換を迫られるタイミングに差し掛かってきていることは確かであると感じた。

とりあえず2点ほど、中国でショックを受けた「いい面」について書いてみた。今回は都市のみへのビジネス旅行であるので、多少の偏りはあるが、一方、いろいろと中国の「いびつな面」についても感じたことがあり、次の稿でその点について書いてみようと思う。

上海の崔と申します。

いつもGoogle Readerでひろおさんのブログを拝読させて頂いております。

中国の「いい面」についての内容を興味深く読んでおり、同感なところが多いと思いますが、中国の「いびつな面」についての内容を期待しており、楽しみにしております。

2008.07.08 16:39 URL | Jimmycui001 #- [ 編集 ]

コメントありがとうございます。
理解の足りない部分もあると思いますが、
それも含めて素直に感じたことをそのまま書くことにしています。
もし思うことがあれば私も勉強になりますので
気軽に教えてください。

2008.07.10 23:56 URL | ひろお #- [ 編集 ]












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