FC2ブログ

Stanford MBA 心の旅路

Stanford大学でのMBA(Stanford GSB)留学に奮闘する、外資系経営コンサルティング・ファーム勤務の若者の心の日記blog。 コンサルティングの仕事、MBA受験からスタンフォードGSB合格、スタンフォードMBA生活、帰国にいたるまで。

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
--.--.-- --:-- | スポンサー広告 | トラックバック(-) | コメント(-) |
選択科目の中で、Organizational Learningという科目を履修した。いかに組織が学んでいくか、いかに学べる組織を構築するか、といった授業であったが、その中でいろいろと普通の人が陥りがちな論理の綾についての講義があり、それが面白かった。いわゆる思考の罠で、いずれも組織や個人が学ぶ上で誤った学びをもたらしてしまう例として提示された。3つほど、興味深かったものを書いておきたい。

1.ベンチマーキングの罠
ベンチマーキングの罠ハイ・パフォーマンスの企業、競合などを研究し(ベンチマーキング)、彼らから学ぶというのは企業活動の中でよく行われることだが、その中で犯しがちな典型的な誤りについて。たとえば、ハイ・パフォーマンスの企業10社を研究し、その10社が共通するAという特徴・仕組みを持っていることを発見したとする。仮に自社がAという特徴、仕組みを持っていないとすると、パフォーマンスの差の一因はそのAの有無であろうと、Aを取り入れようとするケースがある。ただ、そこには罠がある。

簡単に言うとサンプル・エラーで、実は成功した企業10社に共通のAという特徴・仕組みは、成功していないその他の無数の企業にも頻繁に見られるものかもしれないのだ。仮に10社の中でAという特徴・仕組みが見られる可能性が80%だったとしても、実はAという特徴・仕組みを持っている企業の中で、成功している企業の比率というのは5%に満たないということは容易にありうる(図を参照)。

ではどうすればいいかというと、成功した企業と、成功していない企業を比較して、その差として見られる特徴・仕組みを検出する、または「成功」の定義をきちんと細かく(定量的に)定義し、その特徴・仕組みが具体的に(どのくらい)その成功に貢献しているかどうかを検証するなど、本当にAという特徴・仕組みが成功企業足り得るために必要な重要要素なのかを確認するアプローチが必要になる。また、よく言われる「correlationとcausationの混乱」というやつで、結果と原因を混乱してしまい、成功した結果、Aという特徴・仕組みが見られるだけなのか、Aという特徴・仕組みを持っていたからこそ成功したのか、という点を誤解しないようにすることが大切である。

2.企業の死角: 満足している現状の手段の背後で起こる、代替手段の改善
代替手段の改善多くの企業が学習に失敗する死角の例として、その企業が現在活用している(且つその企業が比較的満足している)手段より劣っていた代替手段が改善した際に、それを見落としがち、という点が挙げられる。多少複雑なので、同様に図を見てほしい。仮にX社がMという生産方式で市場において優位なポジションを築いていたとする。過去10年間、M方式のお陰で安いコストを実現できた。X社は現在のM方式に十分満足しており、それを磨き上げることを10年間続けてきた。ところが、その背後で市場のニーズが少しずつ変化しており、昔は全く見向きもされず、コストが何割も高かったS生産方式が、いくつかのキーとなる技術の進歩により、実はニーズにマッチした製品を安いコストで生産できるポテンシャルを持つに至っていた。そのような際、X社は現在活用している優秀な手段(M)よりも劣っていた代替手段(S)の改善には、非常に多くの場合気づかない。もちろん、気づいていても、スイッチングコスト等を勘案すると、黙殺してしまうケースも多いだろうが、新進気鋭のプレーヤーが、このようなチャンスをものにして業界の構造を変えたり、新しいスタープレーヤーとして躍り出ることはいくつも例がある。そこまで大胆な例でなくても、現在満足している手段の背後でひそかに起こる代替手段の改善には、多くの企業や人は長い間気づかず、機会損失を垂れ流してしまうケースが非常に多いという。

このようなものに気づくには、常にアンテナを張っていなければならないことになる。言うは易し、行うは難しで、現状成功していればしているほど、現状アプローチの改善・徹底にマインドシェアの大半を取られてしまうのは理解できる。ただ一方、そのような死角を理解し、どこかでひっくり返されないように死角に(できる限りの)神経をとがらせているかどうかで、このような機会損失を防ぐことができるかどうかが決まるのである。

3.動かせる要素を見過ごし、定数とみなしてしまう罠
定数を変数と見る最後は、複数要素を一緒に動かせば、よりよい結果が得られるのに、それに気づかず、または努力をせずに、よい結果を展望せずに終えてしまうという罠である。たとえば、自社だけでTという行動をすると、逆にリスクが高いだけで損をしてしまうが、その他の関係者のM社、Y当局、U社などを巻きんで一気に皆がTという行動をすれば、皆が一気に得をするというようなパターンである。普段定数だと思い込んでいるようなものも、仮に変数として考えてみて、全体でのパイの拡大、また自社の獲得分の最大化を考えるということである。

この授業も1週間の短期集中授業を履修したのだが、これ以外にもいろいろと興味深い視点や事例を提供してくれた、頭の体操にもよい面白い授業であった。
スポンサーサイト












管理者にだけ表示

トラックバックURL↓
http://stanfordmba.blog108.fc2.com/tb.php/126-f3a5f4b0

| ホーム |
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。