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Stanford MBA 心の旅路

Stanford大学でのMBA(Stanford GSB)留学に奮闘する、外資系経営コンサルティング・ファーム勤務の若者の心の日記blog。 コンサルティングの仕事、MBA受験からスタンフォードGSB合格、スタンフォードMBA生活、帰国にいたるまで。

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クラス風景今学期、選択科目として1週間でのネゴシエーションの集中講義を受講した。月曜から金曜まで週5日間、毎日3時間の集中授業である。毎回、いろいろな演習をこなし、体験を通じてネゴシエーションの方法を学んでいく。

授業は選択科目で、かつ夕方6時から9時までの「夜間授業」だったため、10数人での和気あいあいとした少人数授業。みな2年目にもなるとすっかりリラックスし、エネルギーと、活発な発言と笑い(たまに怒り)が絶えない、これぞ選択科目といった雰囲気で授業が進む。毎日同じメンツと夜にあい、また事前にいろいろとグループでの準備もするので、集中的に一定のメンバーと仲良くなれる。集中講義形式の1つのメリットである。

コースを通じて学んだことは数多いが、2つだけ記しておくと、「交渉事の結果幅のダイナミックさ」と、「満足度が必ずしも成果に直結しない」という気づき。

「交渉事の結果幅のダイナミックさ」
たとえば授業の初日に行ったシンプルな交渉の演習では、ある工場の売却価格を、売り手と買い手で交渉させられた。工場の市場価格は不明確で、いつくか参考となる他社の工場の売却事例や、過去の市場価格、地価の変動データなどを頼りに、双方が交渉をする。

私は売り手側の役割を割り振られ、ジャーナリズムのPHDを専攻しているアメリカ人と交渉をすることになった。最初にケースを読んだ時点で、妥当な売却価格は300億円程度、ただ、正当化可能なもっとも高い価格は350億円程度だと考え、350億円を提示するところから交渉を始めることとした。結果、我々のチームは310億円前後で売買契約を結ぶことになり、私としては交渉も円満に有効的に進み、妥当価格より高い価格で妥結できたので非常に満足のいく交渉であった。ところが、全チームが集まり、他チームの交渉結果を見て愕然とした。

各チームの成果を見ると、なんと180億円から500億円まで、なんとも非常に大きなバラツキがあり、私の310億円は、平均よりも低い成果であることを知らされた。どのチームも350億円から300億円の間で推移するだろうと踏んでいた私は大きなショックを受けた。500億円で売りさばいた売り手と買い手、180億円で売ってしまった売り手と買い手に、それぞれどういう経緯で契約に至ったのかを授業を通じで聴いていくうちに、いかに交渉の結果幅というものが、交渉の手法、お互いの性格、状況によってダイナミックに変動するものかを知らされた。

「満足度は必ずしも成果に直結しない」
2点目が、交渉当事者の満足度は必ずしも成果に直結せず、それどころか、成果の邪魔にすらなる可能性があるという点。

演習にてセオリーでは、「妥当価格」に重点を置いて交渉する人は、交渉後の満足度は高いが成果は低く、アグレッシブな「ターゲット価格」に重点を置いて交渉する人は、交渉後の満足度は低いが、成果は高い。「妥当価格」に重点を置く人は、比較的道理にかなった良心的な交渉をし、相手との関係構築も円滑なため、有効的で、満足度の高い交渉プロセスを経験しがちである。また、「妥当価格」に重点を置くため、妥当価格より少しでも高い価格で契約できれば交渉は成功となり、本人は満足をすることとなる。一方、アグレッシブな「ターゲット価格」に重点を置く人は、交渉はタフになりがちなため、気まずい思いをすることもあるが、結果として高い価格で契約を結べることが多い。ただ、ターゲット価格からの譲歩を続けることになるため、本人の印象としては、「相手にたくさん譲歩した」という印象が形成され、満足度はさらに低くなる傾向がある。

実際の交渉では、今回の演習のように同じ交渉の結果を複数比較することはできないケースがほとんどだ。1度きりの交渉であるとすると、比較対象がないため、満足度は高いがポテンシャルを捉え切れていない交渉結果だったのか、満足度は低いが十分ポテンシャルをとらえきった交渉結果だったのか、なかなか判断する基準がないものである。その場合、多くの人は交渉後の満足度、また当初想定した価格と最終価格とのギャップで交渉の成否を判断しがちである。ところがすでに書いたとおり、もともとの想定価格が低ければ、有効的で円満な交渉を経験しつつ、実際はもっと高い価格で契約できたのに、想定価格より少し高い価格での契約に満足するといったことになりがちなのである。

相手との信頼関係や、長期的関係の有無、交渉の状況によって大きく異なるが、先により高い価格を提示したグループの方が、結果的には高い成果を得ることになるのである。

クラスでは、状況のパターン、交渉の種類によって、どのような交渉戦略が有効で、またどのようなことに気をつけないといけないのかなどを、演習形式によって解明していく。その中には、嘘と倫理、長期リレーションシップと短期的な成果、パイの拡大とパイの切り取り等々、興味深いテーマも多く、演習を通じてとても楽しく充実した1週間を過ごせた。日本での交渉においては、よりリレーションを全面に出した交渉スタイルが求められるかと思うが、交渉スタイルはスタイルとして、このような西欧的な交渉術、交渉セオリーを知っていて、かつそれを実験したことがあるかないかというのは、成果のバラツキの大きさを考えると、非常に大切なことだと感じた。また、交渉の様々なテクニックは、文字通り使うと陳腐になることもあるが、いずれも本質的なものを含んでいると実感したので、今後は生活のあらゆる小さな交渉の場で、いろいろと試しながら残りの生活を送っていきたい。
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2008.12.05 23:04  | # [ 編集 ]












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