Stanford MBA 心の旅路

Stanford大学でのMBA(Stanford GSB)留学に奮闘する、外資系経営コンサルティング・ファーム勤務の若者の心の日記blog。 コンサルティングの仕事、MBA受験からスタンフォードGSB合格、スタンフォードMBA生活、帰国にいたるまで。

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入社してから1ヶ月ほどの研修を終え、始めて本物のプロジェクトにアサインされた。
  ・プロジェクト・リーダー(PL) 1名、
  ・リードコンサルタント(親分的なコンサルタント) 1名、
  ・コンサルタント 1名、
  ・アソシエイト(私) 1名
の4人構成のチームだ。お客さんは大手電機メーカーで、テーマは組織の間接人員(総務や人事、企画など)を減らし、営業などの顧客対応に配置転換する組織スリム化プロジェクトだった。期間は4ヶ月間。ABA分析と呼ばれる社内の業務量分析と、他社の間接部門比率のベンチマーキングによって、効率化余地に当たりをつけて、あとは部門長とのディスカッションの中で、どんどん人を配置転換していく、うちのプロジェクトにしてはオペレーショナル&後ろ向き且つタッチーなテーマだった。


研修が終わる頃のある月曜日、おもむろにあるシニアな方からVoice Mailが入った。緊張しながら聞いてみると、話をしたいと言う。よく分からずに会議室を予約し、その方に連絡をして約束の時間に部屋に行くと、新しいプロジェクトに入ってほしいとのことだった。選択権があるのかもよくわからないまま承諾をし、その場でプロジェクトの概要を説明され、その後、ドサリと基礎資料(プロジェクトの提案資料やお客さんの社内資料)が机に送られてきた。社内のキックオフ・ミーティングを木曜の午後にやるという。その間、しっかりと資料を読んで、また業界の全体感や知識をしっかりと理解しておけとのことだった。


研修では、指示がなくても自分から仕事を奪いに行けといわれた。また、ミーティングで新人だからと言って無言で話を聞いてたら、お前の今日のミーティングでの価値は何か?と詰められることは研修で体感していた。素人に近いとしても、その視点から感じたことをチームに伝える義務があるし、そうしないならチームに居る必要はない、とのことだ。まずはこのファームのやり方をしっかり学ばせてもらわないと、考えていた私はショックを受けた。でも、常に一歩上を目指して成長しようとしている、成長途上の人しかいない会社なのだから、最初から自己主張しないとダメだ、とも言われた。


初めてのチーム・ミーティング、初めてのプレゼン


そんなことを思い出し、誰にも指示されていないが、最初のミーティングにはクライアントとその業界について、自分で調べた15枚くらいの議論資料を作っていくことにした。まずアニュアルレポートやアナリストレポート、新聞や雑誌の記事検索、業界審査辞典やブルーンバーグなどの企業データを引っ張ってきて、クライアント企業と業界の外観を掴むことにした。財務データをエクセルに落とし、事業セグメントごとに利益率や成長率の分析をしたり、株価の推移の競合との比較などをしたりした。その結果、今回のテーマに関連していえそうなポイントをいくつかにまとめ、合計15枚くらいのパワーポイントの資料を作って持っていった。前日は恥ずかしながら朝4時まで夜更かしをした。


社内キックオフ・ミーティングは、前半戦はジェネラルスタッフ(セクレタリー、リサーチャー、プレゼン資料を作ってくれる部門などのサポート部隊)を交えて、今回のプロジェクトの概要をプロジェクトリーダーから全員に共有化する。そこでセクレや他のサポート部隊から活発な質問が出て、プロジェクトリーダーや、その上のオフィサーが答えていく。その後、コンサルタントスタッフだけのミーティングになり、プロジェクト・リーダーから、4ヶ月のプロジェクトの具体的なスケジュールや、お客さんの組織構造、キーパーソン、プロジェクト・リーダーが考えるプロジェクトの肝などが共有化される。その後、役割分担の議論を行い、いよいよ、プロジェクトの進め方に関するフリーディスカッションになった。


自分のネタをどこで出そうかと考えていた隙に、リードコンサルタントの人がいきなり席を立ち、OHP(現在でもそうだが、うちは社内の議論は未だにOHPを使って資料を投影し、ペンなどで書きながら議論する)にスライドを載せ始めた。この人も自分で資料を作ってきたのである。資料は、他社ベンチマーキングについて、自分はこうやったらいいと思う、という3枚くらいのスライドだった。プロジェクト・リーダーは、なるほど、という表情で見ていたが、説明が終わると、オフィサーやプロジェクトリーダーから活発な質問が飛ぶ。「でも、10社も15社もベンチマーキングしても、深さが足りなくなるんじゃない? 類似の業界で、お客さんの納得性が高いところ4,5社に絞って、より深く見た方がいいんじゃないの?」「スケールを考えないと間違うよ。そもそも従業員規模が違うと間接人員比率が違うのは当然でしょ?」「子会社とか、工場とかってどう考える?」などなど。その議論の内容を十分消化しきれず、またその議論が飛ぶスピードについていくのに精一杯のまま、なんとなくアプローチの方向性が固まった模様で、議論が収束。ミーティング終了予定時間15分前だったが、一瞬間があいた。これまで一言も発していなかった私は危機感を感じ、すかさず「すいません、クライアントについて、外からの視点で分析をして簡単な資料を作ってみたのですが、(議論して)いいですか?」と恐る恐る発言してみた。プロジェクト・リーダーはちらっと時計を見て、「いいよ、(OHP台に)載せてみて」。


その後、30分くらいにわたって、私が乗せるOHPに対し、チームメンバーからいろんな質問が浴びせられた。




「なんで××社と比較したの?理由は?」
「××事業部門の利益率が下がっているって言ったけど、その原因は何だと思うの?××なだけじゃないの?」
「そのスライド、そもそも出所(資料の出典)が抜けてるよ。研修でやったでしょ?」
「その分析だったら、こういう形で見せないと意味が通じないよ」




必死でもあったが、すごく楽しい30分でもあった。一流のコンサルタントが、自分の資料に対していろいろと反応してくれる。しかも、いろいろと指導をしてくれる。内容的にはケチョンケチョンにやられたのだが、チームの一員になれたような気持ちがして、とても嬉しかった。チーム・ミーティングの終了後、リード・コンサルタントの人がボソッと、「強力な助っ人が来てくれたみたいやね、期待してるよ」と声をかけてくれた。やる気に火をつける、嬉しい一言だった。


泳がされ、溺れて、助けてもらう


私の最初のミッションは、他社とクライアントの間接部門比率をベンチマークし、効率化余地をあぶりだすことだ。全従業員に占める間接人員の比率を比較することで見当をつけようというのだ。3週間後の最初のクライアントミーティングまでに、大まかなアプローチと、初期分析を持っていくとのことだった。


リード・コンサルタントの下に部下としてついて、仕事を覚えるという形だったが、「ある程度自分で考えてやってみな」、と放り出された。最初のCTM(ケース・チーム・ミーティング)で夜更かしして資料を出したので、自律性を認めてくれたのだろう。私は我が強い方なので、いいアウトプットを出して驚かせてやろうと気合が入った。


まず手当たり次第、既存の資料を当った。リサーチャーにアドバイスをもらったり、近くの席の人にアドバイスをもらったりしながら、企業の間接人員の人数が分かる統計資料や国の資料を複数入手し、それらをエクセルに落として分析してみることにした。ただ、間接人員の定義が資料によって異なったり、ある資料では企業名が出ていなかったりなかなか複雑な状況だったので、一番定義が近くて個別企業名が出ている2つの資料を使うことにした。2つの資料から、比較的お客さんの業界と近い企業を10社くらいピックアップして、間接人員に占める比率を比較してみた。


・・・・5%、13%、7%、21%、18%、3%・・・・。


あまりにバラバラな数字が出てきてしまい、ハタと困る。あ、従業員規模によってスケール効果が効くってCTMで議論していたな。。確かに5%と3%の企業は大企業だ。でもスケールが効くって具体的にどのくらい従業員が増えるとどのくらい変わるんだろう。 研修でもらったいろんな資料をひっくり返したり、うちが出版しているうちが開発したコンセプトをまとめた資料を読んで見たり。。。本当は一気にアウトプットを出してリードコンサルの人を驚かしたかったのだが、ちょっと作業に詰まっているので聞いてみよう。


「すいません、××さん。CTMで従業員規模によって間接人員って影響を受けるって議論があったかと思うのですが、具体的にその要因ってどう計算すればいいかご存知ですか?いろいろ考えてみて自分でやってみようと思ったのですが、この1日完全にそこで止まってしまっていて。。」
「あー、それなら一つはうちがグローバルで組織の間接人員規模を集計した資料がナレッジマネジメントのサイトにあると思うから、それを見てみれば。あとは複数の企業をプロットして平均的なスケールカーブを出してしまう手もあるんじゃない?」
一瞬で解決してしまった。しかも、そんなことは早く聞け。1日使うなと怒られてしまった。なるほど。それでやってみよう。


グローバルでのプロジェクトのナレッジを集積してあるサイトに行き、教えてもらった資料のタイトルで検索すると、あった。確かに組織のスケールカーブが出ている。ただ、人事、ファイナンス、ITなど、機能ごとに別々のスケールカーブが引かれていたのだ。「あ、機能によってスケールカーブって全然異なるんだ。そうすると機能ごとにスケールを調整しないといけないわけ?これってメチャメチャ複雑だなー。。そもそも機能ごとに人員数って分かってないしなぁ。。仕方ない。もとの原典に戻って、複数社をプロットして平均的なスケールカーブを書く方法で行こう」


そんな感じで次々とぶつかる壁を乗り越えつつ、とりあえずなんとなくの資料のイメージを作り、リードコンサルタントの時間をもらって相談に行った。対象企業10社と、クライアント企業の、間接人員比率を比較したグラフが1枚と、その前提としてスケールをどう調整したかの説明1枚、間接部門の含まれる機能(人事、経理、、、)を説明した1枚の計3枚。効率化が必要なことが明確に分析に出ていて、結構上出来だ。自信気にリードコンサルタントに紙を説明した。



「クライアントの間接比率が14%で、他社比較での効率化余地は3%。。。間接比率ってどういう定義?」
「(誇らしげに)人事、経理、総務、企画、IT部門を入れています」
「本社だけのをカウントしてるの?それとも事業部門の間接部門もカウントしてる?」
「はい?」
「いや、だから事業部門の人事とか、企画とかはどうカウントしてるの?」
「・・・えーと、、 そっか。事業部門に、人事とかっているんでしたっけ。。?」


(中略)


「で、なんでこの10社選んだんだっけ?」
「(自信ありげに)業種が近い方がいいという議論があったので、同じ電機関係の企業をピックアップしました」
「ピンとこないなぁ」
「でも、同じ業種の会社ってこのくらいしか載ってないんですよ。いろいろ調べたんですけど。。リサーチャーにも相談したし、××さんにも…」
「分かるけど、クライアントにそう説明するわけ?彼ら(クライアント)が真っ先に知りたいと思う企業が全く入ってないよ」
「・・・。まぁ、そうですが。。」
「しかもこれは外資系企業の販社だから、全然会社の機能が違うよ。製販持っているところと一緒にしたら間接比率違うの当然でしょ?一緒にしちゃダメだよ。 そういえば製造管理とかって間接部門に入れなくていいの?営業支援とか、営業管理の部門は?」
「???」


(中略)


「間接比率5%なんてあり得るの?ちゃんとこういうのチェックしてよね。あ、でもこの会社とかってもしかしたら、ほとんどシェアードサービス使っちゃってるのかもね。それって今回どう考える?」
「(相当やられ気味)すいません、、、・・・それって、何ですか?」
「いや、だから給与計算とか、専門の子会社とか他社に仕事を外出ししてやってしまうケースがあるんだよ。あ、でもそれはいいのか。シェアードサービスの活用も含めて、その会社は効率化できていると考えればいいから、そこは今回は見なくていいんだな」
「…はぁ。」


(中略)


「そもそも、いきなり結果を見せられてもお客さん反応できないよ。まずはアプローチだとか、対象企業の選定方法をきちんと書かないと。ミーティング2週間後だけど、どう持っていくプラン?」
「(瀕死)えーっと、、、 そうですね。。 まずは、定義をしっかり確認しなおして、、 企業の選び方をどうするか。。 あと2週間ですから、早くそこを決めて、、、」
「・・・うーん。 ちょっと無理そう?一緒やろうか」
「(死亡)・・・はい。。。すいません。お願いします。。」



惨敗だ。今考えれば当たり前で、3ヵ月前まで学生だった人間が、いきなり企業の組織の各部門について理解できている訳がないし、コンサルティング経験ゼロの中で、いきなり他社ベンチマーキングのモジュールを任されること自体、無理がある。でも、この方は私のプライドが高かったのを見て、教育的見地からも一度溺れさせたのだろう。こうして、2週間目からリード・コンサルタントの方と二人三脚でのリカバリーが始まった。


間近に見る技


結局2週間後のミーティングには、ベンチマーク分析のアプローチ案と、比較対象にしたいとお客さんが思うであろう企業リストを提示し、いくつかの注意ポイント(スケール効果を勘案する必要、スケールは機能ごとに効き方が異なる、など)を初期分析で添える形で資料を作り、仕事の進め方を議論する形でうまく終了した。アプローチとしては、複数社に我々がインタビューし、お互いの企業の間接人員比率をお互いに交換しあうという条件に賛同してくれる企業のデータを集め、その中に、クライアントと仲のいい、必ず協力してくれる企業を何社か混ぜて進めることになった。お互いにメリットがあるし、直接話を聞けるから細かいベンチマーキングが可能である。また並行して、保険のために調査会社を使って複数社の間接部門について任意調査をしてもらうというkとになった。これらのアプローチは、CTMでケースリーダーとリード・コンサルが議論する中で出てきたものだが、私にとっては目からウロコだった。「へぇ~。企業間って同業でもケンカしているだけでなくて、協力関係にある会社もあるんだなぁ。調査会社を雇うっていう手もあるのか。なるほどなぁ。」「プロジェクトのアイデアって、こうやって生の議論の中で生まれてくるんだなぁ。発想が豊かだなぁ。」と、そんなことを実感した。


その後2週間に渡って、私はリード・コンサルタントと一緒に同意してくれた企業の担当者の方々にインタビュー訪問を実施した。趣旨を説明した上で、組織の概要について人事部門の方からヒアリングをした上で、後日詳細の資料をいただく段取りになった。私にとっては初めてのインタビューで、メモを取ることに必死だったのだが、楽しかった。


3回目のインタビューでは、「今日の前半俺が説明する、後半は頼んだよ」と、突然タクシーの中で言われた。「え、マジですか」と顔面蒼白。「もう2回も見てるでしょ?」「いや、でも、もうちょっと前に言ってくださいよ。」「大丈夫、大丈夫。コケたらカバーするから」「・・・。分かりましたけど。。」


4回目のインタビューでは、インタビュー開始7,8分前に相手企業についたものの、いきなりリードコンサルの人が「腹減った。行くぞ」と牛丼屋に。え!あと5分くらいしかないよ、と心で叫びつつ、「はい!」と付いていく。牛丼屋で大盛りを注文した彼は、出てきた牛丼を掃除機のように吸い込み、私が4分の1くらいしか並盛を食べ終わっていない段階で「行くぞ」と。もったいないので肉だけ口に放り込み、「(もごもご)はい。。」と。1分前にインタビュー先に到着し、受付へ。この人は本当に狩猟民族だな、とつくづく思った。



インタビューの帰りのタクシーでは、毎回反省会のような会話がなされる。「あの部長は警戒してたなー。まぁ、資料もらえるか分からないけど、俺からあとでフォローしておくよ。」「あの会社は営業支援とマーケティングが一緒になってるから、分析のとき注意が必要だな」など。その言葉の一つ一つが、なるほど、あのインタビューをそう解釈するのか、という、自分の感受性/アンテナとのギャップを感じるいい訓練となる。


インタビューが終わると、毎日メモを書く。これが難しい。うちのメモは、議事録ではダメなのだ。結局、何が分かって、プロジェクトに対する示唆は何で、だとするごネクストステップは何か、という順番で、自分の主観をはっきりと交えて構成しないといけない。客観的に言ったことだけをまとめる議事録とは大きく異なり、実力がそのまま出てしまうのだ。メッセージをまとめる際、ロジカルシンキングが非常に要求される。レベル感があっているか、メッセージとボトムがあっているか。説得力のあるメッセージをクリアに提示するためにはとても重要な基礎力だ。コンサルでの経験を積むと普通にできるようになることだが、最初はこれが難しい。1時間のインタビューのメモを書くのに、4時間。それをリードコンサルタントに添削してもらうと、真っ赤になって返ってきて、もう2時間。うちでは上の人が資料はメモに直接ペンを入れてくれることを「赤ペン先生」と呼ぶが、これが非常にためになる。当時はただ必死にもらった修正点を理解して、反映しようとしていただけだが、振り返ると、すごい教育投資をしてもらったと思う。メッセージを修正されたとき、なぜそう修正されたのか、もっと当時からしっかり考えていれば、もっとOJTの効果を最大化できただろうに、と思ったりもする。


最後の経営会議を終えて


その後は、もらった資料をベースに、企業の担当者に電話をして定義を確認したりして、定義あわせ、数字の微調整をしていく作業を担当した。インタビューのときにあった偉い方でなく、その下の担当者を紹介してもらったので幾分電話もかけやすく、嫌がられながらも突進力で沢山電話し、分析を進めて行った。このプロセスは、2つの意味で私にとって意味が大きかった。一つは、自分ひとりで他の企業の担当者と話を進めていくことができ、自信に繋がった点。もう一つは、企業の各部署の役割などについていろいろとヒアリングをでき、細かな部署のミッション(庶務、総務といっても各社内容が異なり、単純比較できない)を聞きだすことで、企業の組織についての理解が深まったことだ。


プロジェクト2ヶ月目の第一回の経営会議では、私が頑張って作った他社のベンチマーキング分析が、リード・コンサルタントの方によってプレゼンされた。活発な質問がクライアント側からも出たが、見事にリード・コンサルタントの方が切り返してくれた。全て、事前に2人の間で議論しつくしたことだった。この分析によって、クライアントが直感的に感じていた余剰感が具体的にどの部門にありそうで、その原因は何なのかが、なんとなく浮き彫りになってきた。これで全てを決めるわけでなく、最終的には業務量分析を行って、部門長とのディスカッションの中で人員の最適化余地を特定していくわけだが、危機感を経営陣に醸成するいい機会になったと、あとでプロジェクト・リーダーが伝えてくれた。


その後の2ヶ月間は、業務量の分析と、その他いくつかの分析(組織の階層が多すぎるというや、管理職が多すぎるという分析など)を実施した。タッチーなテーマだったなので、コンサルタントの方が人員最適化余地について部門長とやりあっているミーティング(全部門長について、計100時間以上実施)にあまり出席できなかったのが残念だった。ただ2,3度だけ、部門長とのミーティングに同席させてもらい、メモをとった際には、リード・コンサルタントの人の場合はロジックと数字でズバズバ攻め込んでいくのに対し、もう一人の若手コンサルタント(といっても、前職では10年近くの経験を持つ社会人大ベテラン)は、威圧しつつも同情する、といった、取調室での2役を1人でこなすといったスタイルで、それぞれ全く違うスタイルで最適化余地を詰めて行く様子に、これもまた"勉強になった"とは言えない(距離感がありすぎる)が、とても刺激になった。


最初のプロジェクトは、とにかく目の前のことに精一杯取り組む中で、気がつくと終わって行った。最後の経営会議では、プレゼンが終わり、ひとしきり議論が終わったあと、社長が最後に「グッドジョブ」とチームに声をかけてくれた。経営会議が終了し、クライアントの各役員が席を立って散っていく中で、「あ、終わったんだな」と思った。「これで終わりなんだ。あっさりしているな」という感覚と、「結果としてはよかったのかな」という両方の感覚を持ったのを覚えている。初プロジェクトのアソシエイトとしてお客さんとのコミュニケーションがあまりなかったので、正直、お客さんに大きなインパクトを与えた実感がなかった。あれだけ詰めた計画は、ちゃんと実行されるのだろうか。あの分析は、どのくらいお客さんの心に刺さったのだろうか。リード・コンサルタントの人に詰められて脂汗を書いていたあの部門長はどうしているのだろう。でも、「グッドジョブ」という一言からして、きっとお客さんは満足してくれたんだろう、と。そんな雑感を抱きながら、経営コンサルタントとして初めてのプロジェクトが幕を閉じた。



※仕事上のコンフィデンシャリティの観点から、適宜編集をしてあります。

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GMATがいかに大変であろうとも、MBAの合否を分ける最大の要素が何かと問われれば、迷わずにエッセイと答えるだろう。


日本の大学受験では試験の点数が合否の全てを決する仕組みになっている一方、アメリカのMBA受験では試験の点数はあくまで受験に必要なトータルパッケージの中のひとつの要素に過ぎない。まさしく、アメリカMBAの受験を表現するのに、トータルパッケージという言葉はぴったりだ。エッセイ、上司や同僚からの推薦状、大学の成績(GPA)、履歴書、試験の点数(TOEFL、GMAT)、そして面接。。。これら複数要素を総合して、「あなたと私の大学は、相思相愛か?」ということをトータルで判断するのだ。


日本の受験と圧倒的に異なるのは、バランス感覚や人間力が求められてくる点だろう。勉強だけしていて、ビジョンや人間に魅力のない人は確実に不合格となる。またこれもアメリカ的だが、仕事だけしていてもだめで、地域社会への貢献や、趣味、ボランティアなどの課外活動とのバランスをとっていることが良しとされたりもする。そういった試験の点数以外の部分、つまり人間くさい部分を判断する上での最大の材料が、エッセイなのである。


エッセイは学校によって質問が異なる。大体は5問~10問くらいの数で、大雑把に言うと、西海岸の学校ほど問題数が少なく曖昧/考え方を直接問う設問になり、東海岸ほど問題数が多く厳格/実績を問う設問になる傾向がある模様だ。


例えば東の名門Harvard Business Schoolの2007年のエッセイの質問は、以下の6問だ。



1. What would you like the MBA Admissions Board to know about your undergraduate academic experience? (400-word limit)
(大学時代の経験で、HBSに知っておいてもらいたいとあなたが考えることは何か?)


2. What are your three most substantial accomplishments and why do you view them as such? (600-word limit)
(あなたの最大の功績を3つ挙げよ。また、なぜその3つを最大の功績だと考えるのか?)


3. Discuss a defining experience in your leadership development. How did this experience highlight your strengths and weaknesses as a leader? (400-word limit)
(あたなのリーダーシップを発展させた経験について記せ。この経験はリーダーとしてのあなたの強みと弱みをどう表しているか?)


4. In your career, you will have to deal with many ethical issues. What are likely to be the most challenging and what is your plan for developing the competencies you will need to handle these issues effectively? (400-word limit)
(将来仕事の中で、沢山の倫理的なジレンマに遭遇するだろう。あなたにとって一番ハードな倫理的ジレンマは何で、それを乗り越える力をあなたはどうやって身につけるつもりか?)


5. What is your career vision and why is this choice meaningful to you? (400-word limit)
(あなたのキャリア・ビジョンは何で、なぜそのビジョンがあなたにとって意義深いのか?)


6. What other information do you believe would be helpful to the Board in understanding you better and in considering your application? (400-word limit)
(その他、あなたをより深く理解するためにHBSに知っておいてほしいことは何か?)



非常に練られた、実力をあぶりだすいい質問ぞろいだ。しかも字数制限が非常に厳しく、無駄な言葉を使う余裕が全くない。いかにこの短い広告スペースの中に、最も印象の強いエピソードを凝縮させて入れ込むかが鍵となるエッセイだ。


対極としては、西の名門Stanford GSBのエッセイだろう。以下の4問(A,Bは必須で、1-4から2問選んで回答)だ。



A: What matters most to you, and why?(Recommended length is 3-4 pages, double-spaced)
(あなたにとって一番大切なものは何か?それはなぜか?)


B: What are your career aspirations? How will your education at Stanford help you achieve them? (Recommended length is 2-3 pages, doubled-spaced)
(あなたのキャリア・ゴールは何か?Stanfordはそのためにどう役立つのか?)


C: Short Essays-Options 1-4(Recommended length is 1-2 pages, doubled-spaced)



Option1: Tell us about a time when you did something that was not established, expected, or popular.
(あなたが常識や期待を覆すことを達成した出来事を書きなさい)


Option2: Tell us about a time when you felt effective or successful.
(あなたがうまくできている/成功していると感じる出来事を書きなさい)


Option3: Tell us about a time when you had a significant effect on a group or individual.
(あなたが組織や個人に大きな影響を与えた出来事を書きなさい)


Option4: Tell us about a time when you tried to reach a goal or complete a task that was challenging, difficult, or frustrating.
(あなたが困難で大変なことを成し遂げた出来事を書きなさい)



非常に本質的でシンプルな、オープンクエスチョン形式だ。字数制限もゆとりがあるため、どこまで深く自己分析をし、考え抜き、それを情緒豊かな個性的な形式で提供できるかどうかが鍵となるエッセイだ。


こういった各学校の出す質問に対し、英語で小論文を書き記していく。ただ実際は上記の2校を見てお気づきの方もいらっしゃると思うが、似通っている質問も多く、また質問は違えど、自分自身の印象的なネタというのは限りがあるので、結局いかにうまく同じネタを使いまわし、お化粧を変えていくかという部分が大きい。


学校により聞き方は全く違えど、一般的には、どのトップMBA校も共通して聞いてくる質問として、



・Why MBA?
・Why その学校?
・Career Goalは?
・将来リーダーになる資質を証明できる具体的なエピソードは?



といったあたりに答えていくことになるだろう。   (続)

GMATがMBA受験プロセスの中で最も辛い時期だった。基本的にMBA受験は、英語力の向上や、人生を見つめなおす機会といったポジティブな努力とベクトルが一致していると思っているが、このGMATだけは、英語力の向上とも言いがたい、受験テクニックへの習熟的な要素が決定的な要素となる部分が大きい。


試験内容としては、以下の3パートに分かれている:



1.論文(AWA) (2つのテーマで30分ずつ)
2.数学(Quantitative) (75分)
3.英語(Verbal) (75分)



帰国子女など英語力の高い人は正統派の英語学習でいいスコアが出るのかもしれないが、ドメスティックな人種にとっては、英語のVerbalがキツイ。。75分以内に絶対に終わらない量の問題が出るのだ。じっくりと時間をかけて解けばある程度の正答率を出せるのだが、75分で全ての問題を解こうと思うと、読むスピード自体が遅い非ネイティブは越えるのが不可能なほど高い壁にぶつかる。それをカバーするのが、問題のパターンを認識して効率的に誤答を落として正解にたどり着く方法であり、それは完全に受験テクニックの領域なのだ。いかに解ける問題を効率よく解き、いかに解けなくていい問題に時間を奪われないかという時間管理の稚拙が点数を決める。それは、ある部分ではマニアックな受験勉強が支配する世界である。


その様子がライブ感をもってよく分かる資料として、私がGMATで点数を出せた際の師匠でもある、プリンストン・レビュー・ジャパン(現アゴス・ジャパン)の中山先生に送ったメールを引用する。


・・・・・・(以下、中山先生への御礼メール)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



中山先生


5月のGW Verbal集中講座、
7月のAdvanced Practice、
8月のOfficial Guide解説を受講させていただいた、五十嵐です。


本日GMAT(2回目)を受験し、無事、710点(Q50点、V35点)を取ることが出来ました。


5月のGW集中講座で始めてGMATの問題を見た状態から、8月という比較的早いタイミングでスコアを出せたのは、本当に全て中山先生のお陰です。心から感謝しています。ありがとうございました。


以下、非常な長文ですので、もしお手すきの際があればご覧ください。試験結果の推移、感想、及び学習の内容をご参考にご報告させていただきます。


 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


【試験結果の推移】


6月に受験した1回目のGMATでは、640点でした。


1回目の試験では、試験最初のAWAで、普段はそんなことはないのですが、時間内にうまくまとめ切れず、その流れでQuantitativeも最後の6問はランダムクリック、それ以外にも自信のない問題が4,5問あるという悲惨な状況でした。Quantitativeの後で、スコアをキャンセルしようかと悩みましたが、とにかく最後まで受けようとVerbalを受け、それでもまだ精神的に安定しない状態で、RCは1passage飛ばし、SC、CRでも5,6問最後はランダムクリックでした。


明らかに500点台だと思ったのですが、スコアを見てみると、640点。またAWAも返ってきてみれば4.5点でした。"実際の点数が、出来の実感と違うことがあるな"、"試験中に諦めたり動揺したりしないで、とにかく頑張るべきだな"、というのが、1回目の試験の感想でした。


1回目の試験の後、GMAT PREP、PrincetonのCD-ROMをやりながらも、同様の感想を持ちました。Quantitativeでは、10問近く間違えてもPREPでは50点が出る、またVerbalでは、全問解けて自信があったのに27点、逆に最後5,6問ランダムクリックだったのに30点、ということがあり、とにかく、あまり複雑なことは考えずに、目の前の問題を、なるべく早く、確実に、解いていくことだけに集中することにしました。(点数は、ソフトの複雑なアルゴリズムが決めること、と割り切ってしまいました)


そして今回8月に受けた2回目のGMATで、一気にQuantitative50点、Verbal35点の710点を取ることができました。


Quantitativeでは、前半どんどん問題がスピーディーに解け、半分までは十分全問回答できるペースだったのですが、逆にちょっと後半油断をしたのか、最終的には4問ランダムクリックでした。ただ、数問ランダムクリックでも50点は出ると思っていたので、動揺はしませんでした。


Verbalでは、模試も含めて、初めてRCを含めた全ての問題が解けました。


先生のおっしゃるとおり、RCは明らかに解きやすくなっていました。これまで平均で1passage9~10分かかっていたのですが、本番では平均7分くらいで解けました。(本文を読むのにこれまで5分前後かかっていたが、本番では4つとも3分台で読めた)本文の量が減っているのと同時に、問題文も多少解きやすくなっていた印象があります。


結局、最後2分くらい時間を残して全問を終了することができました。出来すぎたので、逆に感覚と違って点数が悪いかもしれないと一瞬不安になったのですが、結果は35点。これまでで一番いい点数を本番で取ることが出来ました。


スコアが表示されてからPCの画面を見るまでに勇気が必要で、ちょっと下を向いていたのですが、祈る気持ちで画面を見て、710という数字を見たとたん、ガッツポーズをしそうになりました。


仕事の関係上、これからどんどん忙しくなってしまう状況なので、ここで取れなければエッセイとの両立は難しいのでもうダメだ、と思っていたので、本当にほっとしています。



【SCの勉強内容】


5月のGWからGMATの勉強をはじめ、スコアを取れるまでに何時間勉強したかをカウントしていたのですが、
累積の合計443時間でした。(1回目受験時点で312時間。受講時間も含む。RC、CRも含む。)


私の場合、仕事がコンサルティングということもあり、平日は半分がタクシー帰り、半分も終電に近いような生活でしたので、週末はもちろん、行きの電車の時間を有効活用しないと間に合わないと思いました。


GWのGMAT集中講座の直後、White Bookをやりながら自分の実力分析をしたのですが、




 ●SCは平均正解率60%、平均回答時間100秒、
  (設定したターゲットは90%、80秒)
 ●CRは平均正解率90%、平均回答時間150秒、
  (設定したターゲットは90%、120秒)
 ●RCは平均正解率70%、平均回答時間11分/4Q Passage、
  (設定したターゲットは50%、8分)




という状況で、CRとRCは正解率を落とさず、今より早く解けるようにすることに力を注げばよかったのですが、SCは、両方とも大幅な改善をしないといけない状態でした。
 
5月は、中山先生が授業で言っていたのを思い出し、White BookのSCパートを全てスキャナで取り込み、各問題と回答を表裏に印刷した1枚のページにして、穴を開けてリングを通してそれをひたすら電車の中で解きまくりました。鉛筆とストップウォッチを持ち、毎回、かかった時間と、完璧に他の選択肢を落として正解にたどり着いたら"○"、そうでなければ"△"か"×"(不正解)をどんどんつけていきました。


大きさがA4の半分ですので、満員電車でも解ける上、○が増えていくことがゲーム的にも面白く、また不得意な問題だけをピックアップすることも可能で、これは非常によかったです。


週末は、ビデオストリーミングを見ながらその冊子に思考パターンを書き込んでいきました。そして書き込んだものを平日に電車の中で肉化していく、というパターンを続けていきました。


6月には、会社と交渉して、1週間の有給をもらうことができました。そこでは、5月に鍛えた思考パターンを元に、OGを毎回テスト形式にして解いていきました。ここでは、全体の時間管理、RC/CRを実際にランダムにならべた状態での頭の切り替え等も含めながらやっていきました。


そして、6月末に1回目のGMAT受験。
 
7月に入ってからは、週末はAdvanced Practice、また平日は正直有給の反動でプロジェクトが非常に忙しくなり、睡眠不足が続いて電車の中では気がついたら寝てしまっていることの方が多かったかと思います。週末も1日は仕事に使ってしまい、休日も睡眠時間を削ってAdvanced Practiceの予習と復習をする、という、非常に肉体的、精神的にも辛い状態が続きました。
 
せっかく6月末まで一気に勉強してきたモメンタムが切れてしまいそうで、それだけは避けようと、寝てしまうとしても朝電車に乗ったら必ず冊子を取り出して1問は問題を解くように心がけました。
 
8月のお盆休み前のOG集中講座では、White Bookで作ったのと同様のOG版の冊子を作って授業に持って行き、その場でどんどん思考パターン、解答方法を書き込んでいきました。それを活用し、お盆休みの1週間、SCの最後の集中特訓を行い、そして今日のGMATを迎えた、という形です。
 
正解率を上げるためには、とにかく思考パターンを繰り返し復習し、肉化することに集中しました。また、間違えた問題について、原因を全てリストアップして、徹底的につぶしていく、ということも2,3回行いました。私はもともと文法が得意な方ではないので、短期間でスコアアップするためには、スパルタで、体が反応するまでパターン認識を強化することを意識しました。
 
スピードを上げるためには、自分が解答に時間がかかっている原因を分析し、その原因をつぶしていきました。私の場合、2点原因があり、



 ① Pronounなりagreementなり落とすポイントが見つかった際、それをすばやく他の選択肢に横展開できず、次の選択肢も頭から読んでしまっていた点、
 ② 類似の選択肢を2つ同時に見ていく、ということがなかなかできていなかった点、



 というあたりが大きく、これをできるように繰り返し練習していきました。
 
その結果、2回目の受験の手前では、平均正解率70%、平均解答時間80秒まで上げることができました。(正解率は一見それほど上がっていませんが、スピードをそれほど考えなければもっと正解できるようになっている感覚はあります。)
 
ただ、本番で本当にスコアを出せるかどうかは多分に運の要素もあるように思いました。私のように、600点の半ばが出ている状態なら、本番で急に700点が出るようなことも本当にあるのだなぁと思いました。
 
とにかく、今日は試験を終えて、ほっとしています。5月のGWから始まって、本当に中山先生なしではこの点数は出ませんでした。
 
本当にありがとうございました。


 


MBA受験をこれから考えている人のために、MBA受験で私がしたことを簡単に記しておきたいと思う。MBA受験に必要なものは、簡単に言うと以下の4つである。



1.TOEFL :MBAトップ10に必要な水準 260点(TOEIC換算だと950点程度。)


2.GMAT: 同水準 680点


3.エッセイ: キャリアゴールやMBAの志望動機、仕事での実績など


4.インタビュー: 英語での30~40分の面接



多くの人が、この順番で準備をしていく。全ての準備に短くて1年、長くて2年ほどをかける人が多いだろう。ちなみに私のスケジュールは、



1.TOEFL :2006年1月~3月(終了:273点)


2.GMAT :5月~8月(終了:710点)


3.エッセイ: 9月~12月(Stanford、HBS、LBS、Kellogg、Columbia、UCLAの6校分作成)


4.インタビュー: 2007年1月~3月(Stanford、HBS、LBS、Kelloggの4校分実施) である。



今回は、その中で一番最初に取り掛かるであろうTOEFLについて、私のやった勉強法を簡単にご紹介したい。


まずその前に、TOEFL勉強を本格的に始める前の私の英語力について言うと、無体策の受けはじめでTOEFL237点(=TOEIC780点)前後。外資系企業に勤めてはいたものの、基本的に日本のお客さまと日本語で仕事をしていたので、それほど高いレベルとは言えないのが現状だった。そこから2ヶ月間で273点まで伸びたわけだが、私の場合、2つくらい大きなブレークスルーがあった。


(1)単語を徹底的に覚えたこと


有名な旺文社の「TOEFL英単語3800」を、1月から2月末まででレベル3まで覚えたことで、一気にReadingが読みやすくなり、大きく階段を登った感覚を持った。通勤の電車の中で毎日数ページずつ覚えていくことを続け、土日に平日覚えたものを確認するループを続けていった。


(2)Shadowing+倍速リスニングを1ヶ月間続けたこと


リスニングが伸び悩んでいた。そこが最後までネックになっていたのだが、2月から帰りの電車やタクシーの中で、リスニングの比較的簡単なスクリプトを繰り返し同じスピードで繰り返しシャドイングした。3週間ほど、本当に毎日30分継続してシャドイングしたことで、急にあるときから英語が耳に入ってくるようになった。これまで聞き流してきた「自分が苦手な音節」「よく出てくるけど苦手なフレーズ」を、繰り返し自分の口で言うことで、頭の中に刻み込んだことがブレークスルーの原因だと思う。また、ICレコーダに苦手なパッセージを録音し、1.5倍速くらいで早回しで行きの電車の中で聞き続けた。これによって、久しぶりに通常速度の英語を聞くと「聞きやすい!」という状態を作れ、耳を鳴らす結果になったと思う。


上記2点が私のスコアが大きく伸びたブレークスルーのポイントだった。それ以外、当然普通に文法の復習やリーディングの練習、AWAの練習などを実施したが、これらは比較的オーソドックスに勉強する中でスコアをそこそこ伸ばせた印象だ。プリンストン・レビュー(現アゴス・ジャパン)のコースに通い、全て教材もここに書いたもの以外は予備校の教材を使って勉強を実施した。


最終的には、Listening28, Writing28, Reading26, AWA5.0で、リーディングの点数が普段より低くなってしまったものの、苦手であったリスニングで高いスコアを出すことができた。


上記の2点以外にその前提としてTOEFLの試験を突破する鍵は、とにかく本気を出して徹底して勉強をすることである。私も1月からは本当に勉強モードに切り替え、平日は仕事が忙しい中でも30分から1時間程度、休日は8時間から10時間程度は勉強をしていた。また、試験の直前に1週間の有給を取り、そこで徹底して「勉強モード」に入りこんだことが、短期間で得点を出すことに繋がった原因だと思う。


但し、TOEFLは、本気になってやればできる科目である。GMATはTOEFLの大変さの比にならない試験であるし、またTOEFLは最低限の点数(260点)をとっていれば、それほどそれ以上は差別化にならない試験でもある。ただ、これがMBA受験の入り口である。

4月5日- 第一志望であるStanford GSBの合格締切日である。


アメリカのMBAの合格発表は日本のように決められた日程に一斉に結果がオープンになるのではなく、合格締切日の数日か1-2週間前に、学校側から電話かメールで合格の連絡が来るの通例のようだ。第一志望であるStanfordの合格発表期限日が最も遅く、期限日より早くメールをもらうことの多かった私はとてもやきもきしていた。4月4日。合格締切日の1日前。同じ経営コンサルタント出身の日本人が既に合格を決めているという話を聞いており、なるべく多様性に富んだバックグラウンドを持った学年にしようとする一般的な傾向からしても、正直完全に落ちたと思っていた。そんな状況だったので半分諦めきっていた夜、会社の自室にミーティングから帰ってくると、親からメールが来ていた。


「外国の人から夕方電話があって、携帯電話の番号をなんとか伝えたけど、突然英語だったので動転して名前を聞き取れないまま切ってしまいました」とのこと。Stanfordからか!?心の中ではそう思いつつ、ヘッドハンターからの胡散臭い電話の可能性もありうると思い、務めて冷静を保とうとした。夜11時をすぎた頃、ふと非通知電話は受信拒否する設定になっていたことに気付き、慌てて設定を変更する。その日は結局電話がなく、帰路につこうと会社を出て、車どおりのなくなった大通り沿いを歩いていたそのとき、おもむろに携帯電話が振動した。あわてて携帯電話を取ると、案の定、Stanfordからの合格の電話だった。丁寧に御礼をいいつつも、気が動転し、なんとか電話を切った私は、急いで親やお世話になった会社の人にVoice mailを残し始めた。。。


最後は自分にとっても理想の形で終わったMBA受験だったが、非常に苦しみ、つらい1年強であった。私は2006年の1月から本格的に勉強を開始、以降、3月にTOEFL終了、8月にGMAT終了、12月に2ndラウンド(アメリカのMBA受験は1stから3rdまで3つほどのラウンドに受験の時期が分かれている)で出願、3月までインタビューの対策をして4月を迎えた。その間、仕事も大変だったため、特にGMAT勉強の後半などは、朝2時まで仕事をして、それから自宅に帰り4時過ぎまで勉強をするような生活を続けた。


私にとって一番辛かったのがGMAT。次にエッセイ、比較的楽だったのはTOEFL、楽しかったのはインタビュー対策だ。GMATの勉強では、プリンストン・レビュー・ジャパン(現アゴス・ジャパン)の中山先生に非常にお世話になった。彼がいなければ、GMATを短期間で攻略することは不可能だった。


会社の上司やメンバーにもいろいろとお世話になった。特にStanford出身の大先輩であり、また入社以来お世話になっている上司には、本当にいろいろとアドバイスをもらった。親も全面バックアップでサポートしてくれた。本当に恵まれた環境の中、こうして希望のMBA留学先にいけることになった事実に、心から感謝したい。トイレは、我慢しているときは死ぬほど必要とされるのに終わると見向きされなくなる、という話があるが、MBA受験を支えてくださった周りの人たちに、もう一度、心から御礼を言いたい。本当に、ありがとうございました。頑張って、濃密な2年間を送ってきます。

MBA(経営学)は、経営コンサルティングの役には立たない


私は幸か不幸か、沢山のMBAホルダーの方に囲まれて社会人生活をスタートした。外資系の経営コンサルティング・ファームは投資銀行と並び、MBAホルダーの2大転職先であり、中途入社のコンサルタントの多くの人が一流の企業からMBA留学をし、うちの会社に入ってくる。ただ、実際に仕事をしているときは、意外とどの方がMBAホルダーかなど、実はほとんど考えたこともなければ、感じたこともない。「経営コンサルティング=経営学を学んだMBAホルダーは有利」、というイメージをお持ちの方もいるかと思うが、実際は違う。活躍するコンサルタントとMBAホルダーは全くイコールではないし、またMBAを持っていても入社直後は当然全く戦力にはならない。


経営「学」と、実際の経営は全く異なると思う。MBAとは「過去」の事例をベースに、いろんな経営課題を「広く浅く」、沢山学んでくるものであって、実際のコンサルティング・ワークとは、「現在(または未来)」の経営課題に対して、「狭く深く」、お客さんに適した解決策を練りこんでいくものである。パッケージ販売でない、本当のプレミアム・コンサルティング・ファームで働くのであれば、基礎力として必要なのは既成コンセプトや知識ではなく、"お客さまの現状や外部環境を深く理解した上でゼロベースで自らの「頭脳」と「ハート」と「アンテナ」によって新たな解決策を作りこんでいく力"、及び、その累積経験から来る、"ある事象を見たときにパターン認識ができる力"に他ならないと感じる。これは実際の実務に携わり、プロであるベテラン・コンサルタントと協働しながら技を盗んでいくプロセスの中で集中的に鍛えられ、血液中に貯められていくものであって、MBAでの浅く広い経験自体は、その実務における濃密度合いに比べたらないに等しいというのが、多くのMBAホルダーを見、また5年間ここで働いてきた私の仮説であり、感覚である。


私はコンサルティングの仕事を続けようと思っている。また、自分の中で将来事業会社を経営するオプションも捨てていないが、その場合は既にMBAよりもリアルな経験を5年もさせてもらっているのだから、MBAではなく事業会社での経験を積んだ方がいいのだろう。ではなぜ、MBA留学なのか。会社のMBAホルダーが首をかしげるのも分かる気がする。


MBA留学に求めるのは、「自己拡張」と「切符」



"自分の幅を広げたい"


この5年間は私にとって「徹底的に尖らせる」時期だった。20代は悔いの残らないように仕事に魂を燃やしたいと思っていた私にとっては、この会社の選択は間違っていなかった。苦しい時期も長く、アップダウンのある5年間だったが、今は「頑張ってよかった」と素直に思える。ただ当初から想定していたことではあったが、副作用も顕著になってきた。仕事以外の好きな本を読む、映画や絵画、音楽を鑑賞し、沢山運動する。ギターを弾いて歌を作る。友達と飲みに行って駄弁ったり、ダラダラとテレビを見たりする。好きな服を買ってオシャレする。旅行に行って、いろんな刺激を取り込む…。そういった人生の「豊かな」部分を切り詰めて仕事に投入してきたのがこの5年間だ。その結果、「心の畑」が痩せていく感覚を段々と強く持つようになった。平たく言うと、恥ずかしながら友達と久しぶりに会っても仕事の話以外、引き出しがなくなっているのだ。これは理想の父親、理想のビジネスマンの姿からは程遠い姿である。 多分に、近視眼的になりがちな私の性格が影響しているのだが、これはなんとか修正したい副作用であった。


次の2年間は、「徹底的に広げる」時期にしたい。それはいろんな読書、芸術、スポーツ、旅行を満喫することでもあり、各国から集まってきた優秀な学生と徹底して価値観と心の交流をすることである。また、英語力を鍛え、活躍のステージを日本国内から確実に英語圏全体へとシフトさせていくことでもある。世界各国に友達を作り、グローバルネットワークの一員になることでもある。私は理想的な父親になりたいし(残念ながら2ステップぐらい手前だが)、理想的なビジネスマンになりたい。それは、経験や言葉が重みと含蓄に富んだ人間であると共に、人として幅があり、慈愛があり、信頼される人間である。挫折や無駄、自分の価値観で捉えきれないことを経験するほど、愛に満ち、懐が広がっていくものだと信じている。この2年間を、そんな人生の幅を広げる2年間にしたい。


"切 符"


数年前、転職を考えた。コンサルタントの仕事で壁にぶつかる中、他の機会を探してヘッドハンター数社にコンタクトを取ったのだ。コンサルタント3年生であり、社会人3年生でもある私に提示されたポジションは、私の予想したような薔薇色のものではなかった。中堅日系事業会社の経営企画部のスタッフ。外資系企業の担当者。決してスジがよさそうでないベンチャー企業のメンバー…。世の中の採用者はトップティアのコンサルティング・ファーム(BCG,McKinsey)もシステムコンサルもひと括りで、「コンサル暦3年」という一介の若者としてしか見てくれないのだ。実力を考えてみれば当たり前だが、私にしてみればショックであった。そこで、「仮にプロジェクト・リーダーを数年経験し(コンサル暦7-8年)、MBAを取って帰ってきたらどんなチャンスがあるか」と聞いてみた。すると、前とは打って変わって目の前に出てきたポジションは魅力的なものに一変したのだ。誰もが知っている外資系企業のある事業部のトップ、有名な日系企業の面白そうな子会社の役員などなど。MBAというタイトル自体は大分陳腐化してきている感があったが、それでも力があることを見せ着けられた瞬間だった。「コンサル・ファームで7,8年経験」+「プロジェクト管理経験あり」+「社費選抜で留学」+「有名MBA卒業(=英語OK)」という組合せが、高い市場価値をつけるのだと言う。


切符という意味には、MBAホルダーの集まりや世界中のAlumniとのネットワークへのアクセス権といった面も含まれている。この意味での切符という価値は、これまでイメージでしか理解していなかったが、合格をもらってからのここ数ヶ月間で、その意味を体感している。これについてはまたスキをついてアップロードしたいと思うが、私が当初予想していた以上の広がりがあるものだと感激をしているところである。



以上、長々と書いたが、MBA留学の本当の価値は、決して学問的な部分だけではないと思っている。もちろん、経営学の知識やコンセプトもコンサルタント経験のない人にとっては新鮮で学びに満ちたものになるであろうし、私にとっても沢山の学びがあるものと信じているし、また期待している。ただ、本当のMBA留学の価値はそういったハードな部分になるのではなく、人としての幅を広げたり、MBAホルダーというコミュニティー/ネットワークの一員となれる点にあるのではないか。それが私がMBAに期待することであり、MBA留学を希望するに至った主な理由である。

7月中旬から渡米の予定なので、実は留学開始までまだしばらく時間があります。

日々仕事と渡米のための事務的な準備に追われる毎日ですので、まずはボチボチとスロー・スタートで行こうと思います。

受験を振り返ったり、合格後に感じたことなど、スキを見てアップロードしていきます。
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