Stanford MBA 心の旅路

Stanford大学でのMBA(Stanford GSB)留学に奮闘する、外資系経営コンサルティング・ファーム勤務の若者の心の日記blog。 コンサルティングの仕事、MBA受験からスタンフォードGSB合格、スタンフォードMBA生活、帰国にいたるまで。

シャンゼリゼ通りにて昨年のThanksgiving休暇はアメリカ人の友人の自宅にてThanksgiving Dinnerに参加し、あとはこちらでのんびりとしていたが、今回はパリとアムステルダムに旅行に行ってきた。パリは高校時代に訪れて以来2度目、アムステルダムは初めての訪問であった。

パリはクリスマスシーズンとあり、イルミネーションが非常にきれいであったが、何と言ってもやはり感動したのが、フランス料理の質の高さ。今回は特に食に力を入れていろいろと回っていたのだが、やはりフランス料理は素晴らしい。

フランス料理は、日本料理とも共通点があると思った。プレゼンテーションの美しさと、職人技の高さ。日本の懐石料理のように、1品1品に真心をこめ、小さな空間に見た目の美しさと味を凝縮させる。ただし、日本料理との大きな相違点が、味の凝縮度の高さと、食品の加工度合の高さ。フランス料理は食品に多くの加工を施し、味も非常に高い凝縮レベルにて複雑な異なる味を調和させるのに対して、日本料理は比較的素材の味を大切にし、比較的低い濃縮レベルにて味を調和させる傾向があると感じた。また、フランス料理は、1つのディッシュの中で、メインの素材、サブの素材、ソース、飾り付けなどのバラエティの中で甘さや辛さ、苦味や酸味をバランスさせる傾向があるのに対して、日本料理は、さっぱりした酸味のある酢の物の皿、どっしりしたご飯ものなど、コース全体で味のバランスを取り、お皿1つ1つでは必ずしも味を調和しなくてもいいという印象がある。ただ、フランス料理の味の調和のさせ方の複雑度合、バランス度合は、他の料理に類を見ない緻密さと、濃厚さを持っていると感じる。

非常に残念ながら、旅行中にカメラを落としてしまい、せっかくの写真がほとんどなくなってしまったので、写真を載せることはできないが、個人的においしかった料理のトップ3。(ちなみに、いずれも100ユーロ未満の比較的お手頃フランス料理。ミシュラン3つ星などの300ユーロクラスの高級レストランは除く)

1.L'Angle du faubourgで食べた、フォアグラのコースディナー
rue du Faubourg沿いにあるミシュラン1つ星レストランだが、値段の割に味が非常によく、満足度が最も高かった。セロリのアクセントを使った三重の小さなゼリー状のアントレから始まり、卵の白身を使って泡立てられたロブスターのスープ(ロブスターはプリプリ)、濃厚なフォアグラのソテー、デザートのナポレオンパイと、それぞれのお皿がこだわりを持ってデコレーションされ、味のバランス、調和ともに、最高であった。ワイン抜きで90ユーロ。ワインも、ポイヤックからサンテミリオンまで、グラスワインでいろいろな種類が楽しめる。参加した友人全員が、このディナーを「思い出のディナー」にセレクト。

2.Au Pied de Cochonで食べた、オニオングラタンスープと、豚の頭のソーセージ
豚で有名なレストラン。お昼にウォークインで入り、オニオングラタンスープとメインディッシュ、デザートをオーダー。オニオングラタンスープは、他のどのレストランよりも一番おいしかった。チーズもスープもよくありがちなように濃厚すぎず、しかしよく味が出ていたおいしかった。豚の頭のソーセージは、見た目は真っ黒ですこしグロテスクだったが、弾力のあるソーセージの皮をナイフで破ると、細かなねっとりとした黒い肉がこぼれおちてくる。マッシュドポテト、ブルーベリーのソースなどと一緒に食べると、非常に濃厚でなめらかな味わいで、目から鱗の落ちる感じであった。ワイン抜きで、30ユーロ前後。満足度高。

3.Bastille駅周辺の無名レストランで食べた、ラムのオリーブ煮込み
とろけるようなラムの肉と、オリーブやオレガノなどのアクセントがうまく調和し、スープから立ち込める湯気と共に、最高に幸せな気持ちにさせてくれた。極寒のパリを窓の外に見ながら、7ユーロの幸せ。適当に入ったフレンチ店でも、その味のブレンドのレベルの高さに驚かされることが多かった。このレストランはその代表例。

凱旋門そしてフランスワイン。パリに来てから、文字通り朝、昼、夜とワインを毎回飲む生活を続けていたが、やはりフランスワインはカリフォルニアワインを大きく違う。大人のワインと言おうか、味のバランスがより繊細で、複雑。同じカベルネを取っても、カリフォルニアワインは果実実たっぷりの、ベリー系の香りが凝縮された味わいになりがちなのに対して、ボルドーワインなどは、よりタンニン、土の香りなどが複雑に、繊細にブレンドされた大人っぽい味になる。ピノに関しても同様。オレゴンなどのピノは、非常に華やか且つ果実実もたっぷりな味わいになるのに対して、ブルゴーニュのピノは、より繊細で、気難しい味わいだと感じた。

ワインに関しては、個人的には完熟したカリフィルニアのブドウを使ったワインの方が、フランスのワインより好みにあっているように感じる。
ジョットのフレスコ画イタリア人と話をしていて口をそろえて不平をいうことがある。ひとつは経済状況の悪さだが、もう一つが政治の機能不全。

経済状況だが、とりあえず若者がイタリアで就職できないとのこと。ロンドンには多くのイタリア人が英語を学びに来ていたが、その背景としては、英語を学んでイタリア外に出ないと、職がないとのことだった。物理の研究者であるミケレも、政府が研究への予算を削減したため、しばらくは自腹で研究を続けなくてはいけない状況だという。

しかし興味深かったのが政治の状況。今回イタリア旅行では4人の友人にお世話になったが、全員が口を揃えて政治の機能不全を嘆いていた。とりあえず、政治家が仕事をしないという。イタリアの政治家の半分以上は学位を持たない人々で、汚職がはびこっているという。また、政治家が汚職をしても罰せられないという、政治家を刑罰の対象外にするような法律が成立してしまい、誰も政治家を段丘できない状況とのこと。しかも、政治家への牽制機能を果たすべきメディアも、1人の人物によって大方のメディアが抑えられてしまっているため、ろくに政治批判などができないとのことだ。ニュースなどでもキャスターが政治に批判的なことを言ったり、その人物が気に入らないような行動を目立ってとってしまうと、圧力がかかって首になってしまうとのことだった。イタリアのテレビはつまらない、と他のイタリア人も言っていたが、このコントロールが背後にある模様だった。

ミランのドゥオモそれから医者のアンドレアが言っていたのは、エア・イタリアの話。完全にエア・イタリアは経営破綻している状況だが、雇用の問題があり、政府が大量の公的資金を投入し、しかも政治家の圧力で一向に航空会社自体の体質改善は進まないという。大量の雇用を守るため、巨額の資金が毎日借金に垂れ流されている状況なのに、誰も何もできない状態だと嘆いていた。しかもこれは日本でも一部見受けられることもあるが、政府施設などで働く公務員の勤務意欲が非常に低く、既定の時間前に受付を閉めてしまったり、弁護士のサラの話では公務員にある手続きをお願いしたところ、率直に面倒なのでやりたくないのでと断られ、代わりにサラ本人が仕事を代行する代わりにお金(税金)を払うという対応をされたことすらあるとのことだった。

おしゃれな街私は昔よく、「これからは経済だけでなく、日本は政治の時代になる」と周りの友人に話をしていたことがあったが、その気持ちは今も変わらない。経済が元気でないとならないことは確かだが、一方で、中国・アメリカのパワーバランスの変化、国内の貧富の差、少子化、高齢化などの社会問題のクロースアップといった流れの中で、これまで以上に、若い優秀な人材が政治にも行ってくれないと困ると思っている。これまで高度成長期、その後のバブル崩壊とそれへの対応・変革の10年は、基本的に経済に集中していれば大方問題のなかった平和な時代であったが、今後はやはり政治がわれわれの生活を考える上でも大きな意味合いを持ってくる部分が増えてくると思う。いずれにせよ日本の政治も相当程度ダイナミックに改善される必要があるが、イタリアの政治も相当に深刻な模様だ。
レストランに向かう道ロンドンからイタリア入りしたこともあり、とにかく食には飢えていたので、訪問する先々で、友達に一番おいしいイタリア料理を食べさせてくれと注文をして回った。日本ではまだあまりなじみのないフレッシュパスタなどを食べたことは先に書いたが、中でもとびっきり最高だったのが、レストラン経営が夢というトリノ在住の46歳救急医療ドクター・アンドレア(仮称)に連れて行ってもらったレストラン。トリノから車で1時間ほど走った田舎町にある、Osteria Del Boccon Divinoという、スローフードのレストラン。 看板も地味で、真っ暗な細い道の脇に入ったところにあるレストランで、現在イタリアで流行っているというスローフード(彼曰く、素材から何から、昔ながらの自然な方法で栽培・育成したものを使い、それぞれの素材において最高のもの、かつ環境にやさしいものを集めて作るという料理、とのことだった。ミルクなら、××産のミルク。このチーズなら、このハムなら、と、イタリア各地から最高のものだけを集めて作っているということらしい。ファーストフード&グローバリゼーションに対抗する形で、地元の素材、エコ、最高の素材などにこだわりを持つトレンドとのこと。かたつむりのマークがトレードマーク)というものらしいが、ここで食べた料理が本当に最高だった。

1品目一品目は、前菜の盛り合わせ。なんと、胡椒が効き、肉の甘味と豚肉のワイルドな香りが口に広がる生の豚肉のソーセージ、脂肪部分と一緒に食べる、溶けるような口当たりの生ハム、そして柔らかい牛のたたき。何より、人生で初めて生の豚肉を食べた。豚ではなく、ワイルドポークという、正確には別の品種のものとのことだったが、そのことをアンドレアに言うと、「刺身を食べる日本なのに、豚は生で食べないのか」と勝ち誇った笑みを浮かべていた。このワイルドポークと、溶けるような生ハムの味は特に、今でもすぐに再現できるほど覚えている。

2品目二品目は、ニョッキとパスタ。ニョッキはトマトソースベース。何よりパスタがおいしかった。これは前にも書いたエッグパスタ。正確にはタリアテッレで、これが非常に弾力があってしっかりした食感で、また細かく切られたパスタが甘くてコクのあるトマトソースとうまく絡んで、非常においしかった。ニョッキはこれまでそれほどたくさん食べたことはないので、比較感がないが、じゃがいもの自然な香りと、とろけるような食感、もっちりとした歯ごたえが非常に印象的だった。

3品目 うさぎの白ワイン煮三品目は、うさぎの白ワイン煮と、ビーフの赤ワイン煮。ビーフはトスカーナの有名ワイン、ボローロで煮込んだものだという。しかしビーフは日本でよく食べるおいしいビーフ煮込みとさほど変わらなかったが、うさぎの白ワイン煮込みがとてもおいしかった。ちなみに、ワインはアンドレアがお勧めのDolcettoというブドウのワイン。樽の香りがしっかりついていて、独特の香りをもった不思議なワインだった。それからアンドレアは個人的に好きでないとのことだったが、お約束でバローロをグラスで注文。初めてバローロを飲んだが、非常にアルコール感、刺激、タンニンの強い、かつ土のような香りが非常に強い個性的な味だった。すでに淵がオレンジがかってきている年代ものだったが、正直私にもインパクトが強すぎて、それほどおいしいとは思わなかった。

4品目 パンナコッタ四品目が、デザートとして、パンナコッタとチーズのプディング。このパンナコッタが、アンドレアが「世界最高のパンナコッタ」と言ってはばからないもの。原料のミルクから何から、すべて最高のものを調達しているとのこと。おっしゃる通り、非常に濃厚でねっとりとしており、口の中に凝縮されたパンナコッタ独特の香りが広がる様子は、これまで食べたパンナコッタとは大きく違うものだった。このパンナコッタの印象が強かったためか、チーズのプディングは普通においしいという感じであった。

さて、そんなイタリアで食べた最高のディナーのお話でしたが、このイタリア人医師が、かなりの食通(夢がレストラン経営ということだから当然だろう)。彼がお昼に連れて行ってくれたカフェに、とてもかわいいお菓子がたくさん並んでいて、思わず写真を撮ってしまった。日本人から見ても一口サイズのかわいらしい大きさのパイ生地・パンに、いろいろなトッピングが乗っている。このサイズ、このデモンストレーションは、イギリス人には無理だろうと思った(アメリカ人でも同様)。ここは彼が「(また)世界で一番おいしいエスプレッソを飲ませてやる」と言って連れてきてくれたところなのだが、これまたお菓子もおいしく、結局2度通ってしまった。

おいしいお菓子とエスプレッソトリノは、個人的にはミランよりも気に入った。ミランはファッションの街ということで、ミランのブランド街のショーウィンドウの華麗さ、独創性にはすごいなぁと思ったが、食に関して言えば、アンドレアの案内がよかったからだろうか、非常に繊細な食が多いような印象を受けた。(ミランでは弁護士の友人とその彼女と3人で地元イタリア人に一番人気といわれるお店に連れて行ってもらったが、正直ピンとこなかった)。

最後に酔いが回ってきた頃にお医者さんのアンドレアが、トリノ郊外のスローフード・レストランでウサギの白ワイン煮込みを食べながら言った一言。

「こうやっておいしいイタリアワインと料理を食べていると、イタリア以外のすべての世界の人々が不幸に思えてくるね」。

うーん、あの晩のディナーは忘れられない。。。
アシッシの路地現在、再びスタンフォードに戻ってきたが、その直前、イタリアに滞在した。ロンドンで知り合ったイタリア人の知り合いをめぐって、ミラノ、トリノ、アンコーナ、カメリーナ、アシッシ、ローマと、北部イタリアの大都市・田舎町を転々と巡ってきた。イタリア経済は近年非常に厳しい状況にあり、国として決して順風満帆というわけではないが、そこには誇りと共に、生き方を変えないイタリアの人々の姿があった。

どの都市・田舎町に行っても、皆自分の町のことを誇りに思っているのが、印象的だった。ミラノ、トリノ、ローマといった大都市はともかく、小さな港町のアンコーナ、人口1万人未満の小さな大学町のカメリーナなど、普通の観光客は行かないような町であっても、そこには11世紀、12世紀からの門、教会、城など、昔から残る多くの建造物が町には残され、そして彼らはそれを誇らしげに案内してくれる。アンコーナでもカメリーナでも、多くの場合、伯爵が建てた城が丘の上にあり、城壁に囲まれる・その外側も含めて城下町が形成され、その中央に町の中心となる教会が建っているケースが多いようだ。イタリアの地形は山がちで起伏が激しく、丘の上に町が築かれるため、町も当然坂道が多く、石造りの家々の間を、いかにもイタリアらしい細く曲がりくねった小道・階段道が続いているような、そんな絵画で見た様な風景をいたるところで目にすることができる。

トリノの街並みカメリーナは、イギリスのケンブリッジと非常に似ている、町と大学が一体化した、14世紀から続く昔ながらの大学町である。町は1万人未満で、学生が夏に去ると人口が半減するという、大学以外に何もない街である。2泊そこで泊めてもらったミケレ(仮称)は、物理学の研究者で、妹が大学で法律を教える助手、お母さんが大学で事務を手伝い、お父さんは大学の年金保険の運用会社に勤めているという、まさしく「大学」で出来上がった家族であった。町は昔ながらの石造りの建物をそのまま利用し、校舎も講堂も教室も、まさしく14世紀からの遺跡そのもの。ケンブリッジも美しいと思ったが、この坂道だらけの地形に、両側を石造りの建物に囲まれ細い階段道がくねり歩く雰囲気というのは、イタリア独特のものなのだろうか。ミケレは、「見るのは美しいけど、実際は坂が多くて大変だよ。道も昔の馬車道の幅のまま(両側に石造りの建物が建っているので拡張できない)だから一方通行ばかりで幅もぎりぎりだし」、とのこと。ただ、この町に住むことを誇りに思い、これだけ訪問する人に紹介できる歴史的なものがあるというのは、やっぱりヨーロッパは素晴らしいなぁと感じてしまう。

家庭での手作りパスタイタリア人は、あまり働かない。週36時間労働が基本で、多くの人が、基本朝8時から午後2時までしか働かないとのこと。週に2日は36時間を満たすため、昼食をとったあと午後4時から午後6時までさらに2時間働くというが、午後2時に仕事が終わってしまうのは、ちょっとびっくりである。友人いわく、「昼食は家族にとっても大切なものだからね」とのこと。ローマやミランなどの大都市ではそうはいかず、ローマで投資銀行に勤める別の友人は、われわれと同じような過酷な生活をしていた(そのため夜11時からしか彼とは会えず、夜中2時まで夜の街を車で案内してくれた。。。)が、大多数の大都市以外に住むイタリア人にとっては、昼ごはん、夜ごはんを家族と一緒にとるのが大切であるとのことだった。特に夕食の時間は伝統的に家族にとって非常に重要な時間であり、ほとんどの友人が家族と夕食をほぼ毎日一緒にとるとのこと。そんな訳か、多くの友人がイタリア料理の話になると、結局最後は「母親の料理が一番」と語気を強めていたのを思い出す。確かにカメリーナでは、友人の母親自慢の手作りパスタ(卵の入ったフレッシュパスタ)、庭でとれた野菜、葡萄など、レストランとは違った素朴でおいしい、太陽の恵みを感じるようなおいしい食事をいただいた。

ミランでもトリノでも、ローマでも、都市そのものが遺跡と言っていいほど昔ながらの建物、遺跡、教会に囲まれ、現代の生活と調和させながら生活している友人たちの姿があった。アンコーナ、カメリーナ、アシッシといった田舎町では、それぞれの町に誇りを持ちながら、昔ながらの素朴な生活を続けるイタリア人の姿があった。ロンドンでも感じたことだが、アメリカとは違ったヨーロッパの良さを感じる素敵な旅だったと思う。